光
失意のどん底で何を思う?
黒い、どす黒い汚い心の私が存在した。周りを憎み、蔑み、不幸を嘲笑う。何と醜いことか・・・。
もうどうでもいい。
自暴自棄となり、目に映るものすべてがどうでも良くなっていく・・・。
置いてある竹刀や防具、飾ってある賞状や優勝カップ。目を塞ぎたい衝動に駆られる。
とにかく剣道が「好き」から「嫌い」にシフトしていく感覚。
教えている子も頑張っている子も、もぅどうでもいいや。好きにしたら・・・。と言いきれてしまう自分がいた。
今はそれでもいい。周りに迷惑をかけないように汚い心をすべて出し切る。
きっと・・・いつか救世主が現れる。眩しいくらいに輝く光に導かれ「そっち」に戻れる。
中止となってから稽古もないし、やる気もない。当分使わない防具袋を車のトランクから出そうとした時、「もしかしたら、もぅ二度と防具袋をトランクに積むことはないんじゃないか?」と思いやめた。
未だにトランクに積んだままだ。
竹刀チェックも毎週行っていたが、今はやっていない。気になっているまま。
試合用に使うはずだった防具も奥に追いやったまま・・・。
マエニススメナイ
中止を意を決して伝えた時、あんなに泣いた娘は見たことない。
耳をふさぎたくなるような言葉が私の中に入ってきた。
「剣道行きたくない」「剣道いや」
つい、最近「剣道していてよかった!」を聞いてるだけに・・・。
私はちょっとした小パニック状態でその場を離れた。
モウダメダ!
時が経ち、娘は前に進むことを決意したようだ。4人の6年生たちのためにも進むことを選んだ。なんと素晴らしい事か。光が見つかったんだな。
私は・・・。無気力な日々が続いていた。まだマエニススメナイ。
そんなある日、K道場に行くため道着に着替え、K先生に「全国中止になりました。来年も全国に行くのでご指導よろしくお願いします」と言った娘が光って見えた。
そうかぁ
娘が救世主だったんだな。こんなに近くにいたんだな。
どうしようもないオヤジで申し訳ない。ホントダメだなぁ~。
さぁ、そうと決まればやりますか!
しばらく剣道から距離を置いていました。珍しいんじゃないですか?10日間以上剣道が全くない生活。「剣道」という言葉さえ無理やり抑え込んでいたこの時期。「剣道」に関係するものを避けていた時期。ただただ呆然として過ごしました。
さぁすべて振出しに戻りました。今までしてきたことや獲得した賞、経験、全て自分の中にしまって一からやり直しです。また8か月間突っ走っていきます。
やっと・・・やっと腹を括ることが出来ました。
市の予選は10月です。
娘は5・6年女子の部での出場です。一個上がいようが関係なく絶対的な実力で県選抜になろう!そしてH弟と一緒にもう一度、・・・もう一度全国の舞台へ。
H弟は優勝しかありません。行くんだろ?全国!
B君はベスト8に入り強化稽古に参加する。そして強い子たちの景色を見る。
各々の目標は明確です。
私の下がりきった気持ちとは裏腹に稽古で思い切った体当たりが何度も何度も私に浴びせられる。「もぅ、十分だろ?マエヘススメ」と言わんばかりの体当たり。
子ども達に奮い立たせてもらっている。ありがとう。ありがとう。
覚悟が足らなかったのは私の方だ。
娘・H弟・B君、3つの光に導かれている。暗闇を照らす一隅の光。・・・よかった、これで迷わずにススメル。
どん底から救い出してくれてありがとう。
さぁ、もう一度剣道楽しみますか!