~小学3年生までの指南書的なノリです。
初心者の子に剣道を教えるにあたってまず最初に絶対的に教え込んでいかないといけない事があります。
それは「すり足の仕方」です。
これは洗脳に近い感じで幼少期から刷り込んでいきます。
左足で体を前に押し出す。これに尽きます。右足を出して左足をひきつけるという間違ったすり足を最初に教えてしまったらもうOUTです。子供の頃のファーストインプレッションは根深く残っていきます。左足を踏ん張って身体を前に出す。ということは一番最初に動くのは左足です。
このすり足がそのまま「踏み込み」へ移行していきます。さらにはそのまま大人になっても変わりません。
もう一つは「素振り」です。
ここで絶対的なのは「右足始動」での素振りです。更には「左手」です。
振り上げた時や振った時の左手の位置。構えたの時の左手の位置。左手をしっかり握ること。
左手の中指・薬指・小指に力を入れる事。この3本の指の付け根あたりにマメが出来たらご褒美をあげるぐらいのことをしてもいいかもしれません。
最後は「体重移動」です。重心移動とでも言いましょうか?真っすぐした姿勢でそのまま平行移動できる。体幹が大事ですね。
素振りの項目に関しては注意点が多くなりますがもっと細かく指導してもいいぐらい価値があります。
私自身は「すり足」と「素振り」には1年ぐらい掛けてもいいように思います。
基本が終われば実際に面打ちや切り返しですね。
基本的にはこのすり足と素振りがしっかり出来ていればそこまで問題はありません。
あとは数をしてもらうだけでいいと思います。
ある程度基本も出来てきて、さぁ、そろそろ試合をしていこうとする少年少女剣士に是非知っておいてもらいたいことがあります。
それは「早い面」です。
子ども達がイメージする早い面って間違った解釈なんです。
構えた時の剣先を点Aとし、相手の面を点Bとした時に点Aから点Bまでの到達時間の速さだと認識してしまいます。理論上は間違っていないんですが、ここに「打つ」という動作を飛ばしてしまうんです。「打つ」から「当てる」に誤変換してしまう。
その為に①右手で打ちに行く。そらそうですよ、構えた時に右手が前にありますしね。子どもからしたら右手を伸ばすほうが早く点Bに到達すると思うでしょう。
②上体だけで当てに行く。蹴って面を打ちに行くようになる。運動神経に頼った面ですね。腰が残り飛距離が出なくなります。また、面返し胴の格好の餌食です。
③腕を伸ばして当てに行く。こうなると自分から面が打てなくなります。相手の来たところに合わすだけの剣道。待ち剣になりやすいですし、近い間合いでしか技が出せず、自分から打っていくこと出来なくなります。
ざーっとこんな感じです。
早い面と言うものを間違った認識で覚えるとこの先の剣道の伸びしろが無くなります。
じゃあ早い面をどうやって子ども達に理解させていけばいいのか?早い面って何?てことですよね。
早い面は「身体の移動の速さ」です。
もぅ、ほんとにコレに尽きます。
だからすり足の「左足」や素振りの「重心移動」がここに繋がってくるんです。
このことをしっかり子供に理解させてたくさん稽古させていくことで低学年期は問題ないと思います。
相面に関してはどれだけ早く身体が前に移動できるかです。
また、低学年(3年生まで)の試合に関して勝機のポイントは継ぎ足です。これだけなんです。ほんとにコレ!左足固定の面。
継ぎ足なしに「構えたところ」から←(これも大事。)しっかり面が打っていける。
その為にはしっかり攻める※手元が挙がったり、打てる体勢が出来ていなかったり、左足左手が抜けていたり左足重心になっていないのはNG
しっかり攻めるためにはまず相手より先に攻める。
相手より先に攻めるためには、相手より先に構える。
相手より先に構えるためには、しっかりとした構えがすぐできる。
こういう感じに逆算していけば、何をさせないといけないかが見えてきます。
これを順にこなしていき最終的にしっかりとした面が打てるようになれば低学年期は問題ありません。
上記がある程度出来るようになれば追い込み面や打ち込みをひたすらやっていきます。
いわゆる「竹刀が振れてなくて、足が動いていないと試合に出る価値なし」ということです。
もちろん打ち込みや追い込みも正しく数が打てるように。「正しく」が最優先です。
問題になるのが4年生ですね。また次の機会にでも。
さぁ、剣道楽しみましょう。