明暗を分ける指導力
稽古再開に伴い、ガイドラインに様々な感想が出ているようです。
要は面マスクを付けた状態で面を付け、マウスガードを着用する行為は危険である。
ということです。私も実際に稽古の時に試しに装着してみました。それで切り返しをしてみたところ・・・死にかけました。これでマスクが汗で湿ったりすると間違いなく窒息しますね。20分動くと危ないような気がします。
練習できないでしょ。素振りや体操40分、面付20分・・・十分な稽古って出来るの?
さぁ!ここで各団の明暗を分けるのが「指導力の差」です。
限られた時間と環境の中で充実した稽古が出来るかどうか?その方法を知っている指導者がいるかどうか?
今、子供らに必要な練習、やっておくべき練習、を提供してくれる指導者がみなさんも周りにもいますか?ここで差が生じるように感じます。
素振りや空間打突を40分した後、面を付けて20分稽古(切り返しや地稽古)をするのは「指導力がある」とは言えません。面を付けて20分の稽古をするくらいならもっと別のことが出来ます。
結局今するべきことは足を動かすことです。K先生はひたすら打ち込み棒を使っての打ち込みをしています。これがすごくいい稽古で子どもたちも「面をつけての稽古よりしんどい」と言っています。やり方も何通りかあり、私自身とても勉強になり元立ちの仕方を志願して教えてもいましたよ。確かに20分この稽古をすれば足は動くようになります!急いでまで、危険を冒してまで、面付稽古に執着する必要はありません。
さぁ、私も元立ちを教えてもらったのですが奥が深い・・・この打ち込みは生徒はもちろん、元立ちもかなり疲れます!いろんなところに神経を使います。とてもよい勉強になりました。
私の所属しているスポーツ少年団でも私が担当している子たちには取り入れてあげたいと思いました。
ではやり方の紹介を・・・
縦約15Mぐらいで真ん中に元立ちが打ち込み棒をもって立ちます。そこに子供がすり足で進み、面を打ち込み、端まですり足で行き振り返り再度、真ん中まですり足をし面を打ちます。
・・・・なんだかよくある打ち込みだと思うでしょうが・・・
いくつかパターンがあります。まずは一本打ち、次に三本打ち、次に連続5本打ちなどがあり、さらに引き面や小手面もあります。
まずは各一通り打った後、すべてを組み込んだものをします。
例でいうと体育館の端から「一本打ち→一本打ち→連続五本打ち→小手面打ち→三本打ち→引き面→連続五本打ち→引き面→一本打ち」といった感じです。
もうわかる通り元立ちがめちゃくちゃしんどいです。また元立ちの注意点は三本や連続五本打ちの際は子どもが振り返ったらすぐ構えてあげる。ここでゆっくり構えるのではなく振り返ったらすぐ打てるように誘導してあげることが大切です。
また打つ直前に何を打つか指示をする。しっかり反応できるようにするためです。
それと必ず竹刀の打突部で当たるように打たす。などたくさんの注意点が存在します。
例で挙げた打ち込みを子供たちがすると息が切れます。足も、もつれてきます。ここで大事なのは檄を飛ばすことです。これで最後までやり切れる体力・精神力が養われます。
元立ちは誰よりも動いて、誰よりも考えて、誰よりも檄を飛ばすのでめちゃくちゃしんどいです。けど打つ方はとても良い練習になります。
こういう稽古をさせてくれる指導者っています?子供に取ったらしんどい稽古ですが子供のためには最高の稽古です。子供より疲れる運動を涼しい顔でこなしてくれる。指導までしてくれて檄まで飛ばしてくれる。もちろん全員の子供に実施してくれるのでずっと動きっぱなしです。頭が下がりますね。
剣道未経験の保護者さんもさすがに気づいていました。「これってK先生めちゃくちゃしんどくないですか?」そうです!しんどいんです!私も一度練習がてら元立ちをさせてもらったのですがきついんです!子供より先に足がもつれそうになるし、檄が飛ばせない。思考回路が鈍くなり次何打たすか考えれなくなるんです・・・情けない。
子供たちが上達するために自分が一番身を削る方を躊躇なく選択する指導者
稽古終わりにK先生に「元立ち、お疲れさまでした。」と声を掛けると、「何がきついって子供たちにしんどい空気が伝わらないように装うのがきつい!」と仰っていました。子供たちが「K先生しんどそう・・・」となると遠慮が生まれるそうです。思いっきり打ち込めない。だからいつでも涼しい顔をして打たすことが大事であると。
早く私も元立ちが出来るようになって手助けできたらと切に願います。
週3回の稽古はすべてこの稽古でした。みんな足が動くようになっているんですよ。すり足が速くなっているし、振り返ってからの動きも早い、最後まで左足が追い越さず、すり足が出来るようになっている。
このまま続けていけば面を付けての稽古もしっかり動けます。
さぁ、剣道楽しみましょう。